2020年登場以来、ヴィンテージダイバーズ理想形として世界中時計愛好家を虜にしてきた「ブラックベイ58 ネイビーブルー(Ref. 79030B)」。
マットな質感ネイビーブルー文字盤とアルミニウムベゼル、そして現代日本人手首に吸い付くように馴染む「39mmケース」という黄金比を武器に、ロレックスサブマリーナーに並ぶ日常実用機として確固たる地位を築いてきました。しかし2026年、チューダー最新プロダクトラインナップ更新に伴い、Ref. 79030Bが予告なく公式カタログから姿を消しました(ディスコン / 廃盤)。約6年という比較的短い製造期間で幕を閉じた名作ダイバーズ。なぜ今こタイミングで退場となったか? 後継機とされる37mm「ブラックベイ54 ブルー(Ref. 79000B)」と関係性、そして気になる二次流通市場プレミアム相場真相を、プロバイヤー視点から客観的に解剖します。

1. 39mmの黄金プロポーション:なぜRef. 79030Bは「名作」と呼ばれたのか
Ref. 79030Bがこれほどまでに愛された最大の理由は、「ヴィンテージの空気感」と「現代の日常使いに耐えうる実用性」の奇跡的なバランスにあります。
手首を選ばない39mm径&適度な薄さ: 41mmクラス重厚なダイバーズが主流中、1950年代ツールウォッチを彷彿とさせる39mmケースを採用。シャツ袖口にもスムーズに収まり、長時間デスクワークでも疲れを感じさせません。
落ち着きあるネイビーブルー&アルミニウムベゼル: 現代的なセラミック艶やかな輝きとは一線を画す、アルマイト加工されたアルミベゼルマットな質感。深海を思わせるネイビーブルーは、派手さを抑えつつビジネスから休日カジュアルまで知的なアクセントを添えます。
アイコニックな「スノーフレーク針(イカ針)」: 歴代チューダーサブマリーナー象徴である角型針と立体アプライドインデックスが、夜間でも圧倒的な判読性を確保します。
ケニッシ製 自社製キャリバー MT5402: 心臓部には約70時間ロングパワーリザーブを誇るCOSC認定クロノメーターを搭載。金曜日夜に外しても月曜朝まで止まらない「ウィークエンドプルーフ」実用性を誇ります。

2. 2026年ラインナップ再編の真相:37mm「BB54 ブルー(79000B)」への世代交代
一見すると唐突に思える79030B廃盤ですが、近年チューダーラインナップ戦略を俯瞰すると、極めて論理的な「役割再定義」が見えてきます。
現在、チューダーダイバーズファミリーは極めて緻密に細分化されています。ブラックベイ 41: 現代的なボリューム感とマスタークロノメーター(METAS)を備えた主力機。
ブラックベイ 58(39mm): コークGMT(Ref. M7939G1A0NRU)をはじめ、特殊素材や複雑機構を担う上位レンジへシフト。
ブラックベイ 54(37mm): 1954年初代オマージュとして、小径・ヴィンテージ路線を極めるエントリー主力。
そして2026年、ブランドは満を持して「ブラックベイ54 ブルー(Ref. 79000B)」を市場に投入しました。
37mmというクラシックなサイズ感でスチールブレスとラバーストラップを展開するBB54ブルーが登場したことで、従来「青文字盤ダイバーズ」需要は完全に受け止められる形となりました。39mm58シリーズが高機能・上位路線へと舵を切る中で、シンプルな3針ブルーモデルとして役目を新世代54にバトンタッチしたと見るが自然です。





